9)発表:世間に伝えたい 開発チームの想い
伝熱
いよいよ発売の準備にはいる時期となった、 とうとうここまできたか。
ここでまた戸惑いの声が出始めた、 このクルマどうやって売るんだ?
そう、こんな変なクルマ営業もまだ扱ったことがなかった、メディアや販売店、お客様に どうやって訴求すれば良いのだろう?
でも、最終試作車の試乗を終えた世界中の担当者達は熱かった! 楽しいんたからなんとかこれをお客様に伝えたい。
でも、ベース文化の違う各国の対応は様々 初期から支援してくれたアメリカは色々なアイデアを考えてくれた 発表もデトロイトオートショーに決まっており これも彼らに弾みをつけていたと思う 。
欧州はスポーツカー文化の強い地域であり 浮き足出すことなくジックリ考えてくれた 一番戸惑っていたのは日本かもしれない でも企画をまかされた会社の担当者も熱かった そう、彼らも試作車を運転してこのクルマが楽しくてしかたなかったのだ 売りやさんもみんな 熱いのである 彼らの提案になんでも乗る決心をした
デトロイトオートショー プリローンチ
2006年12月 ティザーキャンペーンが始まり クルマの一部の写真が公表された
2007年1月 デトロイトオートショーの会場に併設されるホールに
ショーカーが運びこまれた
リハーサルが行われる 自走して登場するのだ
横には LF-Aのコンセプトカーが鎮座して 2台でFブランドの幕開けをするのだ
会場に入りきれないくらいのメディアの前でプレゼンがはじまった
このクルマはスカンクチームが開発し・・・・・
プレゼンの原稿を最初に見たときに スカンクチーム?! なんのこと?
米国のある有名伝統的なスポーツカーの開発もアンダーグラウンドで行われ
彼らのチームがスカンクチームと呼ばれていたことに由来するらしいことが分かった
アメリカチームがこのスポーツカーになぞらえて 説明してくれたのだ
プレゼンも終わり、エンジンがかけられ IS Fが登場した!
TCでこの日の為に特別に作った試作車である TCの得意なショーカー創りでもある
仕上げに抜かりはない 特別なブルーの衣装をきていた、真っ白なシートである
これ以降 Fモデルのショーカーは この組み合わせを継承している
お披露目が終わり、フォトセッションが終わり檀上に多くの人が集まった
多くの人に囲まれ 沢山お話をさせてもらった
メディアの人も熱くあってくれた 様に感じた
発売準備
いよいよ日本でも発売準備が始まった。
販売店の皆さんにもこのクルマの想いをお伝えしないといけない 正しくこの想いをお客様にまで届けて欲しかった 売りやさんの作戦は決まったようである クルマだけでなく 開発ストーリーを知ってもらう その為の訴求ツールを作る。
スカンクチームと変な開発責任者である私である 開発責任者 これもIS F発売の為に作ってくれた言葉である。
なぜなら 通常のレクサス車の開発は チーフエンジニア(以下CE)が行い、発表する しかし 私は職位から正式にはCEではないのである 対外的に CEとした方が 分かりやすいと言う意見と 役職は曲げられないと言う意見が対立し 開発責任者と言う呼び方が生まれたのだ 。
そうこうしているうちに ガイドブック、ビデオクリップ Webページ 創りが始まる 開発話、みんなのこだわり 私の想い 沢山集められて 編集されていく それに関わる 撮影スタッフ、ライター もちろん営業担当 みんなに乗ってもらう それがエネルギー伝播の様に みんながドンドン熱くなっていく 。
ついには 写真集をつくってお客さまにお配りすることになるが この写真集も こちらの依頼ではなく 現場の発案で 決済がおりるころには出来上がっていた 。
みんな 暴走だ でも嬉しかった みんなが 楽しんでくれている おかけで多くのツールができあがった そういえば 欧州のカタログには 私の写真が載っていた 私が知る限りだが 欧州のカタログに開発者が載るのは見たことがない 欧州も考えてくれているのだ
記者発表・試乗会
いよいよ発表の時期になった 各国での発表が一斉にはじまった。
おかげですべてには行けなかった 日本の発表は最後になり雪の時期になることが分かっていたので 海外が先行した 。特にハワイで行われた アメリカの発表は行きたかったが 東京モーターショーの時期に重なっていた 。
アメリカはラグナセカ、欧州はスペインのモンテブランコ、で試乗会が行われた 。
日本は 当然FSWで記者発表と試乗会が行われた 何日も続く試乗会に IS Fは全くへこたれず、予定道理消耗品の交換だけで サーキット試乗会を終えた。
狙い道理のクルマができている 実はサーキットを市販車で走るのは大変なストレスをクルマに与えることになる 。
通常のクルマは全開走行では数周ともたず、熱、ブレーキ等が根を上げる IS Fはあのニュルブルクリング ノルドシュライフを耐久走行路として走りこんであるので 心配はない。1日中メディアの苛酷な走行に耐え続けられたのだ。
こんなクルマは P車 と このIS Fだけである。
おもてなしとは構えである ブランド戦略企画の時に学んだことばである さあ どうぞ と言う為には その為の準備が重要であると言うことだ。
公道の延長であるサーキットを安全に楽しんでくださいと言う以上 その構えは 尋常であってはいけない 。
走らない人には過剰品質でも そのしつらえを楽しんで頂きたい 熱対策もブレーキもしっかりしつらえた 安心はしていたが 実証された。
投稿者プロフィール
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元トヨタ自動車株式会社 IS F, RC F, GS F開発責任者 矢口幸彦
個人事務所ならではの『One to One』のサービスで、ワクワクしながら笑顔になれる働き方をお手伝いします。
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